第5章 生活と祭り

神棚のお祭り

一、神棚

どこに設けたらいいの?

神棚を設ける場所

 神棚は神さまをおまつりするところなので、明るく清浄な所に、神棚の向きを南向き(もしくは東向き)にして、大人が見上げるくらいの高さに設けます。神棚をおまつりする場所は、家族がいつも集まれる場所であることが大切です。神棚の下を通ったり、二階のある家では、その上を歩くことになるような場所は避けたいものです。避けられない場合には、神棚の真上の天井に「雲」「空」などと書いた紙を貼ったり、神棚の宮形と天井との間に屋根代わりの板を一枚取り付けて避けるとよいと言われています。

神棚を取り付けることが困難な場合は?

 住宅事情が変化した現代では、神棚を設けることが困難な住宅やマンションなどがあるようです。しかし、だからといって神棚を設けないことは決して良いことではありません。家庭に神棚をおまつりすることは、私たちのご先祖が長年にわたって伝えてきた日本人の麗しい伝統的習慣であるからです。大切なことは、家の守り神として神さまをおまつりし、日々お祈りする「祈りの場」を家庭に作ることですので、リビングのサイドボードや棚の上に、小さな宮形(おやしろ)を置いたり、それぞれのご家庭の事情に合った形でおまつりします。

宮形(みやがた)を据える

 宮形の種類や大きさはさまざまです。おまつりする場所に応じて適当なものを選ぶとよいでしょう。神社ではご希望に応じて、檜製や萱葺きなどの立派な宮形をお取り寄せ出来ますし、比較的安価なものは神具店などでも購入できます。いずれにせよ、新たに宮形を購入されたら、中にお神札を納める前にお祓いをお受けになることが肝要です。神職さんに出張して頂いてお祓いをお受けになるのが原則ですが、購入された宮形を神社に持参されてお祓いをお受けになっても結構です。

二、しめ縄

張り方ってどうしたらいいの?

 しめ縄を張るのは、ここが神聖な場所であることを示す意味があるからです。しめ縄は稲藁を左綯(な)いにしたもので、牛蒡(ごぼう)のように細くて太さの変わらないものを牛蒡注連(ごぼうじめ)、大根のように元が太く先が細くなるものを大根注連(だいこんじめ)と呼びます。
 次にしめ縄を張る向きは、神棚に向って右側に太いほうがくるように張るのが一般的です。それに紙垂(しで、半紙で作ったもの)を等 間隔に挟み込みます。しめ縄は細い縄を使ってもかまいません。

三、お神札(ふだ)

まつり方はどうしたらいいの?

 宮形には、伊勢の神宮のお神札(神宮大麻(じんぐうたいま)、氏神さまのお神札、崇敬(すうけい)する神社のお神札を納めますが、その際に順番があることにご注意下さい。
 例えば、宮形が三社造り(お神札をおまつりする場所が三ヵ所ある宮形)の場合は、中央に伊勢の神宮のお神札、向って右側に氏神さまのお神札、向って左側に崇敬する神社のお神札を納めます。
 一社造りの場合は、一番手前に伊勢の神宮のお神札、次に氏神さまのお神札、その後ろに崇敬する神社のお神札という順番にかさねておまつりします。旅行先などで戴(いただ)いたお神札は、崇敬する神社のお神札と共におまつりします。

四、お供(そな)え物(もの)

お供えの仕方はどうすればいいの?

 お祭りやお正月、毎月一日・十五日、あるいは家族の記念日などにはいつもより、お供え物は多めにします。季節のものやその折々のご馳走なども是非お供えしたいものです。
 お供えする順序として、米、酒、野菜、果物、塩、水の順序とします。神棚が狭い場合は、合せ盛りにしてもかまいません。
 お下げしたお供え物は、お粗末にならないよう家族皆で戴きます。神さまにお供えしたものを戴くことは、神さまの御神徳を戴き、またご加護を感謝することでもありますので謹んで戴きます。
 榊は常に瑞々しいものを飾ります。そして榊葉が絶えることがないよう、定期的に水を取り替えます。

コラム

紙垂(しで)の作り方

 紙垂(しで)の作り方には、下げる場所や地方の慣習などによりさまざまな種類があります。ここでは、一般的な半紙を用いて作る紙垂の作り方をお示しします。
①まず半紙を半分に切り、切った半紙を二つ折りにします。
②次に折り目を左側にして、上下互い違いに約三分の二までカッターで切り込みを入れます。このとき、半紙を四つ折りにして切り込みの目安の筋をつける方法が一般的ですが、何枚も重ねる場合にずれてしまう欠点があります。きれいに仕上げるためには、あらかじめ厚紙で型紙を作っておき、二つ折りにした半紙を重ね、目打ち(千枚通し)で切り込み位置の穴をあけ、定規をあててカッターで切っていくと良いでしょう。
③向かって左の折り目のある一片を頭にして、残りの三片を順に手前に折り返します。